病気について

皮膚アレルギーのある患者さんへ

人の皮膚には皮脂(セラミド)の中に常在菌が1,000種類(カビ、ウイルスを含めて)程度存在していることが、DNA検査で分かっています。腸内にも腸内細菌が無数にいて、免疫と関係しています。人間は細菌やカビ、ウイルスと共存共栄しています。したがって常在菌を殺す(殺菌、滅菌)のではなく、常在菌のバランスを崩さないことが重要です。常在菌のバランスが崩れると、タチの悪い菌が異常に増殖しやすくなります。これが細菌感染、体臭の悪化、かゆみの原因となります。皮脂は感染防御において重要な役割をしています。

日本人でアトピーが多い原因の一つとして、入浴文化の浸透があります。入浴はシャワーより、明らかに体温が上昇するため、免疫力を上げるためには非常に効果的ですが、清潔指向もあって、石鹸で毎日体をゴシゴシ洗ってしまいます。すると皮脂がはがれ、常在細菌のバランスが悪くなってしまう人が出ます。

アトピーだけでなく、原因不明の難病と言われている尋常性乾癬や、皮膚掻痒症、乾燥肌なども皮膚の洗いすぎが原因である可能性があります。

石鹸、ボディーソープを中止

皮膚アレルギー(アトピーを含む、小児も同様)のある方は石鹸、ボディーソープは界面活性剤が入っているため、まずは石鹸、ボディーソープを中止することが重要です。体を洗うタオルも使用しないこと。皮膚に目に見えない細かいキズができてしまいます。シャンプー、リンスも不要です。湯洗のみで体表、髪についた汚れは落とすことができます。もし臭い、汚れが気になる場合には、朝、残り湯またはシャワーを浴びることで解消されると思います。今までの習慣が変わると、1-2週間は気持ちが悪いかもしれませんが、徐々に慣れてきます。

米国皮膚科学会(AAD)でも、アトピー性皮膚炎の患者さんに対するスキンケアの方法は「洗浄剤は必要なときのみ使用する」としています。

入浴剤

1番風呂は水道水の塩素が影響するので、2番風呂(塩素が中和される)にするか、白色ワセリンが入っているソフレ®等の乳液状の入浴剤を使用する。お湯の温度は熱すぎないこと。適温は38-42℃程度です。熱いお湯は皮脂が溶け出します。また体温が上がり過ぎると、免疫が活性化するため、アレルギーは起きやすくなります。

プール、温泉(源泉かけ流し以外)も塩素の濃度が高いです。スポーツジムのプール、ジャグジーを使用した場合には、流水で塩素を良く流し、保湿しましょう。海水浴は海水の塩分だけでなく、紫外線による日焼けも乾燥肌の原因となります。

また新生児のもく浴は週2回程度で良いと言われています。洗いすぎることによりアトピー性皮膚炎が生じ、乾燥した皮膚から容易に食物、ダニなどが吸収され、アレルギーを形成してしまうと考えられます。

保湿

入浴すると、肌の皮脂が減少するので、保湿が必要です。重症の皮膚炎の場合には、白色ワセリンが効果的です。しかしワセリンはべたつくので、翌日に石鹸で洗い流すというような逆効果なことをしてしまう人もいます。また全身に毎日塗ることは不可能です。ワセリンは油なので、たくさん使用すると、毛根をパックしてしまい、皮膚の代謝(皮膚呼吸、老廃物の排出、発汗など)が悪くなり、逆効果になってしまう場合もあります。

そこで、軽度-中等度の皮膚炎には花王のキュレル・ジェルローション®がお勧めです。ワセリンを水で溶いたような製剤で、皮膚の代謝を阻害することが少ないため、入浴後に顔も含めて全身に簡単に塗ることができます。ドラッグストアー等で販売されています。かゆみがある場合にもすぐに塗れます。

アレルギーの治療として、ステロイドなどのほとんどすべての軟膏、ヒルドイド、クリーム、内服薬、健康食品は不要となる場合が多いです。

手洗い

普段の手洗いでどうしても石鹸が必要な場合には、キュレルのハンドソープ®がお勧め。これは髭剃り時にも使用できます。

お湯で食器を洗うと、食器の汚れはよく落ちるが、手が荒れるということを経験している方も多いと思います。皮脂が減少してしまうからです。食器洗いや洗顔もお湯は使用しない方がいいです。化粧も顔に皮膚炎がある場合には最低限にした方が無難です。

感染予防

皮膚炎のある方は皮膚のバリアー機能が低下しているため、感染予防は重要です。帰宅時の流水による手洗いは良いですが、それ以上の滅菌、殺菌(例えば、イソジンによるうがいなど)は不要です。マスクも感染予防にはなりません。

滅菌、殺菌するのではなく、自分の免疫力を落とさないことに注意を払った方がいいでしょう。体温が低下すると、免疫力が低下します。低体温になると、簡単に風邪を引いてしまいます。解熱鎮痛剤(ロキソニン、カロナール、モーラステープなど)はシップも含めて、使用は最小限にした方が良いでしょう。精神的なストレスも免疫を低下させます。激しい落ち込みはたとえ短時間(1-3時間)であれ、免疫力を落とします。思考の素早い切り替えが大切です。病気自体に思い悩むことも、病状を悪化させることになります。

また下肢は感染症を生じやすい部位です。重力に従って浮腫(むくみ)が生じやすいからです。浮腫とは「流れのない水」です。「流れのない水は濁りやすい」→感染症を起こしやすくなります。これを防ぐには、普段から下肢をよく動かすこと。浮腫が気になる場合には夜間は下肢を軽度挙上する。それでも浮腫が出る場合には、昼間だけ膝下の弾性ストッキングを使用する。静脈瘤がある場合には血管内焼灼術がお勧めです。

禁煙

アレルギーの主要な原因として、喫煙(副流煙を含む)があります。家族を含めた禁煙は必須です。副流煙には60-200種類の発がん物質が含まれております。また喫煙は免疫系が障害されるため、感染の主因となります。

プロバイオティクス

皮膚病変が改善、完治しても、アトピー体質が残る場合もあります。喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどです。腸内細菌が免疫と関与していることを考えると、皮膚の常在菌を強化するだけでなく、腸内細菌のバランスも整える必要があるでしょう。現在、プロバイオティクスと言って特別な乳酸菌、ビフィズス菌入りのヨーグルトなどが市販されています。アトピーでお悩みの方は、L92乳酸菌も抗アレルギー作用があると言われているので、2~数か月程度試してみる価値はあると思います。

おわりに

このようなことを書くと、一部だけ真似をする人が出てきます。

例えば、ジェルローションを使っているけど、石鹸も使用しているとか、保湿は問題ないけれど、家人が二階のトイレで喫煙しているとかなどです。またキュレルであれば、シャンプーは良いだろうと考えて、使ってしまう人がいます。これでは十分な効果は期待できないかもしれません。

病気は原因を取り除かないと、治らないことが多いです。

もしアレルギーをしっかり治したいのであれば、まずはここに書いてあることを全部やってみて、2週間程度経過をみて下さい。日によって病状の波はあります。1週間前と比較すると良いかもしれません。症状の記録は重要です。例えば、「皮膚の状態はあまり変わらないけれど、ステロイドを使わなくて大丈夫になった。掻く回数が減少した」、などです。無効または逆効果であれば、合わないものをひとつずつ変更していくか、または中止を検討してください。

さらに詳しい情報が必要な場合には「新しい創傷治療」の「湿潤療法」を検索してみてください。


2018.1.5 岡村記念病院、ICD: 山本賢二

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