●わかりやすい心臓病の話シリーズ09 〜「心臓が悪い」とは。〜
 
「心臓が悪い」とは。
 
 「心臓が悪い」とよく言ったり聞いたりしますが今回は心臓病を病態的に少し詳しく分類してみたいと思います。
  心臓は、血液を体全体に送る役目をしており車のエンジンに例えられます。エンジンの性能は排気量と回転数で表すことができ、排気量は心臓では収縮力に、回転数は心拍数に相当します。回転数が少なくなれば、スピードがでずエンストしたり十分に走れなかったりします。逆に速くなり過ぎても、パワーアップしたかのように思えますが、長く続くとオーバーヒートしてしまいます。この回転数の異常は心臓に例えれば徐脈や頻脈発作などの不整脈に相当します。日常よく見られる心室性期外収縮や上室性期外収縮はエンジンに付いている沢山の歯車の一部の歯が少しすり減っており、軽度の回転むらと考えると判りやすいかもしれません。排気量は心臓の収縮力に相当しますが、心臓は筋肉で構成されていますので心筋の力として考えることができます。心筋の力はバネやゴム紐に置き換えて考えれば判りやすいと思います。心臓の筋肉の病気として、心筋が薄くなる拡張型心筋症と心筋が太る肥大型心筋症があります。拡張型心筋症は、バネが伸び切って十分縮むことができなくなった状態で運動などして活動量が増えるとそれに見合った血液を駆出する力が残っておりませんので十分な血液を全身に送れず、動けなくなってしまいます。
 一方、肥大型心筋症はバネが太くなり過ぎて伸びなくなった状態と説明できます。心臓は筋肉からなる袋だと考えますと、袋が伸びないため多くの血液を貯めることができなくなります。多くの血液が貯めれないと駆出する血液の量を増やせず、身体活動量が増えても対応できないことになります。さらに大切な心筋の病気に、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患があります。心臓の筋肉も生きていますので血液から酸素や栄養源を供給してもらう必要があります。心臓の筋肉に血液を送っている血管は冠状動脈で、この血管の動脈硬化が進み内腔が細くなり心筋に血液が十分供給できなくなるのを狭心症といい、血管が詰まって、心筋の一部が腐ってしまうのを心筋梗塞と言います。
  原因は心筋そのものでなく血管の病気と言うことができます。十分な血液が得られなければ収縮力も低下し、心筋の一部が腐れば駆出量も低下します。また高血圧症は日本には2000−3000万人いると推測されていますが血圧は心臓の働きにより作り出されています。血圧が高いということは心臓が過剰に働いているわけで、心臓肥大を引き起こします。心臓肥大は先ほど述べた肥大型心筋症と同じ結果を引き起こします。
  その外の心臓の病気については、弁膜症のようにエンジンを構成する部品の障害により機能低下している
と考えると判りやすいと思います。血管や弁膜症のように心臓の一部が障害されている病気は治すことができますが、心筋症のように心臓全体に広がる病気は、完治するのは難しいのが現実です。心臓はポンプにも例えられます。全身に十分な血液が供給できなくなることが心臓の病気なのです。

次回は「心臓が悪くても運動をしても良いかどうか。」についてお話したいと思います。
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