病気について

心房細動

心房細動になるとどうして脳梗塞になりやすくなるの?

先日、長嶋前巨人軍監督が脳梗塞で倒れ、その原因は心房細動であったと報道され日本中で心房細動に対する関心が高まっております。わかりやすい心臓病の話第二話で「心臓が悪いと脳梗塞になる?」の中で心房細動に触れておりますが、今回もう一度心房細動についてお話してみたいと思います。心臓は全身に血液を送るポンプで4つの部屋から成り立っています。まず全身から右心房に血液が帰ってきて、右心房は収縮して右心室に血液を送ります。続いて右心室は肺動脈を経て肺へ血液を送り出し、肺で酸素を取り込んだ血液が左心房に蓄えられます。左心房に貯まった血液は左心房が収縮し左心室に送くられ、左心室は大動脈を経て全身に酸素に富んだ血液を送り出します。正常な心房は1分間に60-100回収縮し、1回の収縮で60-130mlほど拍出しており、心房内の血液はかなり速く動いています。

心房細動はどうなるのでしょう。心房細動は心房のみが1分当たり400-600回収縮します。速く動きすぎて、まとまった収縮が出来ず震えているだけになってしまい血液を押し出すことが出来ません。このため心房で血液が滞ってしまいます。血液は流れが滞ると固まる性質があり、左心房内に血栓が出来てしまうことがあります。場合によってはその血栓が剥がれて全身に送り出されてしまいます。そして脳に血液を供給する血管がつまると脳梗塞を起こしてしまいます。(心房が400-600回動いても心室は幸いなことに不規則に動きますが1分間に60-150回位しか動きませんので全身に血液が行き渡らないということはありません。)

それでは心房細動になるとみんな左心房内に血栓が出来てしまうのでしょうか。皆出来るわけではありません。次に述べるような病気を持っている人に脳梗塞が多く発生することが判っています。まず、高血圧症や弁膜症、狭心症、心筋梗塞や心筋症等のような疾患で心機能が低下している人や、心不全を合併した人に多く生じます。これは心機能が低下しているため、心臓の中で血液の流れの遅いところがあるからです。また糖尿病などがありますと、多尿のため、血液が濃縮され血栓が出来やすくなります。利尿剤や脱水が引き金になることもあります。若くて心機能良好で糖尿病などのない心房細動の人は血栓はほとんど出来ません。

血栓を合併しやすい病気を持った心房細動の方は脳梗塞にならないためにどうしたら良いのでしょうか。現在では予防効果のある薬が判っています。ワーファリンとアスピリンです。いずれも血液を固まりにくくする薬です。裏を返せば出血しやすくなるということです。ワーファリンの方がアスピリンより予防効果がありますが、出血もしやすいため、当院では患者様の状態によりどちらの薬が患者様にとってメリットがあるかを考えて薬を選択しております。

最後に「心房細動を治せば左房に血栓はできないのだから脳梗塞の合併はないだろう。だから心房細動を治せば良いのではないか。」とほとんどの人は思われると思います。残念ですが、心房細動を生じる方の多くは多少心臓に障害を持っている方が多く、再発しやすいのです。そして長い期間副作用もなく心房細動を生じさせないような抗不整脈剤は現在まだ発見されていないのが現実です。昨年秋にアメリカとカナダで発表された臨床試験の結果は「心房細動を治そうとして薬を内服した人たち」の方が「心房細動を治さずそのままにして血栓予防の薬を内服している人たち」より死亡率が高かったと発表されました。つまり心房細動は治さなくても血栓予防を行っておれば長生きできると言うことです。しかし心房細動は脈がバラバラになり大変不愉快な思いをすることも事実です。そのような方に抗不整脈剤を内服して心房細動が防げると大変喜ばれますし、元気になられ不安がなくなり仕事もしっかり出来るようになることも事実です。

患者様によってそれぞれ基礎疾患や自覚症状も異なりますので、治療方法は個々に変わってきます。当院は十分に話し合った上でいちばんメリットのある治療法を選択しております。判らないことがありましたら、医師、看護師、薬剤師にご相談ください。

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