病気について

失神と自動車運転

道路交通法(以下、「道交法」という)改正が平成26年6月から施行されました。

道路交通法改正の背景

平成23年4月、栃木県鹿沼市で、歩道を歩いていた登校中の児童の列にクレーン車が突入し、6名が死亡するという痛ましい交通事故が発生しました。この事故の原因が運転手のてんかん発作に伴う意識消失であったこと、また当該運転手が病状を申告せずに運転免許証を更新していたことが明らかになりました。このような状況を受け、警察庁は運転免許制度のあり方を検討するために、「一定の病気等に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会」を設置、「一定の症状を呈する病気等に係る運転免許制度の在り方に関する提言」をとりまとめた上で、今回の道交法改正に至っています。

一定の病気等に係る運転者対策

ICD・CRT-D植込み後の自動車の運転制限に関して

1)ペースメーカー(両心室ペーシング(CRT-P)を含む)植込み後の患者さんは原則許可であり、植込み後の意識消失やペーシングの不具合がなければ運転は通常通り運転が可能です(診断書の提出も必要ありません)。

2)植込み型除細動器(ICD)および両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)植込み後の患者さんは、植込みを受けた時点で自動車運転は原則禁止とされています。

  • 運転の許可および自動車運転免許の維持には日本不整脈学会あるいは日本心不全学会が主催するICD研修を履修した医師により記載された診断書を警察署へ提出することが必要で、最終的に公安委員会および警察当局が運転の可否を判断することとなります。
  • 「運転を控えるべきである」と判断される場合には6ヶ月後に再評価(臨時適性検査)の診断書を提出し、保留期間の延長を行わなければ免許は取り消しとなります。
  • 運転可能と判断された場合でも6ヶ月毎の再審査の診断書提出が必要とされます。

実際の具体的運用指針により以下のように示されております。

  • 植込み前に心室頻拍・心室細動やそれに伴う意識消失の既往がある患者さんに対する植込み(いわゆる二次予防目的の植込み)の場合、植込み後6ヶ月間意識消失や作動(注1)がなければ運転許可となります。
  • 植込み前に心室頻拍・心室細動やそれによる意識消失の既往のない予防的植込み(いわゆる一次的予防目的の植込み)患者さんの場合、植込み後7日間意識消失や作動がなければ運転可能と定められています。
  • 電池消耗や故障に伴うジェネレータ本体の交換に関しては、交換の時点で運転が許可されていた方の場合、術後7日間、リードの交換や追加を行った場合には術後7日間観察の上、作動がなければ運転が許可されます。
  • ICD植込み後に意識消失もしくは作動があった場合には作動から3ヶ月は運転停止となります。従いまして、作動後の観察期間中に再度作動があれば、運転許可に必要な観察期間は最後の作動から3か月間に延長されます。(注2)。
  • 普通免許・準中型免許・中型免許・大型免許等いかなる免許区分であっても、また旅客を輸送する第二種免許など職業運転は、意識消失発作やICDのショック治療が重大な事故に結びつく可能性があるため許可されていません。

注1)ICDの作動とは
電気ショックを伴う除細動作動があった場合だけでなく、自覚症状を伴わない高頻拍ペーシングであっても作動に含まれます。一方で、心房細動などの上質性心拍等に対する不適切作動の場合は、意識消失がなければ作動には含まれませんが、不適切作動であっても意識消失を来す場合には、適切作動と同様に運転制限が果たされます。

注2)意識障害や意識消失を伴わない場合の不適切作動(誤作動)に限っては、その後のICD設定変更や適切な治療を行うことで予防できるとの考えから、特に運転制限を行う必要はない、と変更されました。但し、不適切作動(誤作動)時に意識障害や意識消失をきたした場合には、3か月間の運転制限が必要となります。

ICD植え込み後、自動車運転制限に関する一覧表
  必要観察期間
二次予防目的新規植込み 6ヶ月間
一次予防目的新規植込み 7日間
ICD作動後
(ショック・抗頻発ペーシングを含む)
3ヶ月間
電池交換後 7日間
リード追加・交換後 7日間

よくある質問

医師からICD植込みを受けるように勧められました。ICDを植込まなければ運転しても良いのですか?
道路交通法により「発作によって意識障害または運動障害をもたらす病気であって政令で定めるもの」は免許を与えず、または6ヶ月を越えない範囲内において免許を保留することができる、と定められております。従いまして、過去に意識消失を起こしたことがあり二次予防目的の植込みを勧められた場合には、ICDを植込まなくても運転を控える必要があります。同様に意識消失の既往がなくてもその病状から医師により運転を控えるように指示された場合には運転できません。一方で、意識消失の既往がなく、医師から運転をしてもよいと指示されたものに対しては運転免許の制限は行われません。
診断書はどこに提出したらよいのですか?
診断書は原則的に(1)警察署もしくは運転免許センターから診断書様式を取り寄せ、(2)主治医(継続的に診察している医師)であり学会のICD研修を履修した医師による記載を受け、(3)警察署もしくは運転免許センターに提出することが必要です。具体的な取り寄せ先および提出先は地域により異なりますので、最寄りの運転免許センターの適性相談室にお問い合わせ下さい。
ICDを植込みましたが警察から何も言ってこないので運転しても良いのでしょうか?
道路交通法の実際の運用は患者さんの自己申告を出発点としており、医師により運転してはいけないと指導された場合には患者さんは指導に従うと共に必ず自己申告する必要があります。その上で上記の基準に照らして運転可能と判断される場合には医師の診断書と当局の判断という手続きを経て初めて運転が許可されます。運転が許可されない状況を隠して運転を続け事故を起こした場合、重い責任が問われる可能性があります。

上記は内容に正確性を期すため、不整脈・心電学会を許可を得て不整脈・心電学会の勧告を一部改変して記載してあります。

ICD・CRTD植え込み以外で、失神による自動車運転制限のガイドライン

失神には種々の原因があります。

  • 起立性低血圧による失神
  • 反射性(神経調節性)失神
  • 心原性(心血管性)失神
  • 原因不明の失神

重症不整脈に対してICD・CRTD植え込みを受けた患者様は、上記のガイドラインが適応されます。ICD・CRTD植え込みを受けた患者様以外でも失神を繰り返し、安全に自動車運転が困難な場合は自動車運転が制限されます。これまでの統計では自動車運転中の失神は神経調節性失神が多いことが報告されています。また頻脈性不整脈により失神があり、カテーテル治療を受けた患者様、徐脈性不整脈により失神があり、ペースメーカ治療を受けた患者様でも治療の有効性を確認する必要があり、それぞれ一定期間の運転制限が考慮されます。
日本循環器学会ガイドラインは以下の指針を示しています。

失神患者の自動車運転に関する指針(ESCガイドライン2009より引用)

各種ご案内

受付時間

午前:月~土
8:00~11:00
午後:月~金
13:30~16:00
午前診察:
一部予約制(初診外来以外は完全予約制)
午後診察:
完全予約制

詳しくは下記をご覧ください。

  • 初診の方
  • 再診の方

診療時間

午前:月~土
9:00~12:00
午後:月~金
14:00~17:00

休診日

土曜日午後・日曜日・祝休日・
年末年始

面会時間

月~金
15:00~20:00
土・日・祝休日
13:00~20:00